オギトーンを聴きました
2007.11.4
2011.1.6更新
現在入手可能な平板スピーカーの現状は
| 平板スピーカ一覧 | |||
| 名称 | 寸法 | メーカー・販売 | 特徴 |
| オギトーン | φ10cm | 外山電機 | 円形ボイスコイルに円形平板、糸つりダンパー |
| 古山スピーカー | □約6cm×7cm | FAL | 四角大型ボイスコイル |
| 喜山スピーカー | □5cm | 喜山氏 | 円形ボイスコイルに方形平板 |
| LIVE sound | □15.8cm×27.5cm | ジャステック | マグネパン方式、両面発音 |
| Air WAVE | φ5cm | Air WAVE | 円形ボイスコイルに円形平板 |
価格と寸法を勘案し、オギトーンをオークションで「お試し品」と称する新品を4発セット3万円で落札。
■早速、手持ちの箱に入れて音だしをしました。
取り付け寸法、仕様等の詳しくは、http://www.eonet.ne.jp/~beatnick/ogi-beatnick.htmを参照
| 商品名 | 2連発式ユニット(フェライト) 平面スピーカー お試し品 |
| 商品の紹介 | 世界で最高の軽さを誇る振動板 フレーム寸法:116mm×130mm リヤマウント穴切り:φ106mm(フロントマウントは出来ない) リヤマウントビス:φ4mmキリ 110mm×96 フレーム厚:4mm(材質:樹脂) コーンサイズ:90mm 再生周波数 :25Hz〜20KHz 許容入力:20W ボイスコイルZp:8オーム |
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| 正面、振動板が黒色の塗装がしてある | 背面、マグネット固定フレームがぎりぎりで、 フロントマウントは出来ない |
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| 書斎に収まった状態。足つきのあり合わせの箱にリヤマウント。 | 足つきの全容 |
・駆動アンプ:LM3886使用の簡易アンプ(http://www006.upp.so-net.ne.jp/nakaz/LM_3886.htm)でDF=1.2
真空管アンプに似せるために電流帰還をかけてわざと出力インピーダンスを上げてある。
・使用マイク:SONY EDM-23F5
・使用パソコン:自作、サウンドボードは外付けのUSBオーディオYAMAHA UW500
MySpeaker(コンピュターソフト)で計ってみた結果
オギトーンのWebサイトではf特を否定しているがそんなに悪くなはい。 1.3kHzあたりのピークが唯一の特徴で、高域の乱れは全域用ではこんなもの。
低域の率直な降下が好感が持たれる。
| f得 (サインスィープは ピークディップが顕著に 把握出来る) |
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| ひずみ特性 | ![]() |
| インピーダンス特性 全域に亘ってフラット。 420Hz,1300Hzのピークが ひずみ特性と連動していて 興味深い。 |
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| 単発サイン波 | ![]() |
■聴いてみました
なかなか良い。人の声も、ピアノも、バイオリン、チェロも良い。
今、書斎でもっぱら聴いているALTEC405-8Hに比して、クリアで魅力的な音がする。
f特は、1.3kHzあたりのピークが美しい輝きを聴かせるのかもしれない。
120Hzあたりからのだら下がりは率直で、低音の量感はある。少しローブーストすると効果があるような期待を持たせる。
ひずみ特性は、420Hzあたりに2nd成分のピークがあるが、第1共振点だろう。それにしても全域わたってひずみは小さい。
単発サイン波は、70Hzあたりからまともで、300〜600Hzの乱れがひずみ特性と連動している。高域は率直で良い。
聴いているうちに、ピアノも弦も人の声も、癖音が気になりだして、1.3kHzあたりのピークキャンセルを試してみた。
昔、日立のHS-400というシステムがあったが、ウーファーが金属コーンで2.3kHzあたりにピークがあっとものをピークキャンセル回路で平準化していた。
要は、LCの共振回路である。
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ピ−ク値の実測ではfp=1.28kHzで、L,Cは市販品のきりのいい数値を探すと、
L=1.8mH,C=8.2μFを入手した。Rはホワイトノイズを連続入力し、音声をマイクで収音し、FFTで観測しながら、f特が平準になる値を決めた。
結果は、R=150Ωとなった。
この状態でMySpeakerで分析すると、次の結果を得た。
| f特 1.3kHz付近のピークは きれいにとれている |
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| 歪み特性も1.3kHz付近 で変化はない |
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| 単発サイン波は、1.3kHz の波形は、ピークキャンセル 回路なしに比して乱れがあるが 逆に200〜500Hzが良くなって ので何とも言えない。 |
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聴いてみた結果は、率直で更に良くなった感じがする。
平板スピーカーの低位の良さは残しつつも、癖のとれた音になった。楽器の明瞭さは残されている。
今度は、低域でややボンつくのが耳に触る。
■箱のマルチホール化(正式には、ディストリビューテッド・ポート型)
低域のボンつきは、箱が小さすぎ(内寸法:る22×16×27=9500cm3)と検討をつけ、穴を開けて内部圧力を逃がすこととした。
| φ18mmの穴 を5個あけた |
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結果は、MySpeakerにより解析すると
| f特 130Hzあたりのピーク が約5dB低下している。 新たに、80Hzあたりに 第1共振峰が見られる。 |
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| 歪み特性は、全体的には 密閉箱と代わりはないが、 100Hz以下が改善されており 良い結果である。 |
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| 単発サイン波は、変化は 見あたらない。 |
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■聴いてみて、低音のボンつきはやや改善された。しかし、まだアナウサーの声に明瞭度を欠く。
この原因は、駆動アンプの出力インピーダンスが高いための制動不足か、フェライトマグネットの磁力不足か。
しかし、オーケストラの個別楽器の判別力や、楽音のハッとする様な生々しさは、コーン型スピーカーとは異質である。
聞き続けても疲れない魅力のある音である。
低音の130Hzあたりの盛り上がりと、アナウサーの声の不明瞭度を解消するために、
@駆動アンプの出力インピーダンスを下げ、DF≒100としたが、これは効果なし。
A背面解放のバッフル ボードがいいですよとの、出品者からの情報でこれに挑戦
▲早速、ホームセンターで、900mm×600mm×t12mmの合板を求め、角材30mm×20mmで補強補強した。
スピーカーもせっかく4連発を入手したので、2発ずつのステレオとした。
| 4連発前面と側面 | ![]() |
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| 背面 ピークキャンセラーコイル とデッドマス |
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▲ついでに、デッドマスを取り付けるべく、鉛インゴット1.2Kgrを半裁し600gr/
1個背面のセンターボルト穴(M6mm)を利用しナットで取り付けた。
ここで、3個までは難なく細工が出来たが、4個目で思わぬトラブル発生。
現存のM6mmビスを外した途端に「ピチッ」という音が発生と同時にコーンが動かなくなってしまったのである。フレームをばらして抜こうとしても抜けない。
M6mmビスを外したことにより、ポールピースが移動して、ボイスコイルをかんだのである。
M6mmビスを再度挿入し締め上げたところ、無事にコーンが動いた。
フレーム取り付けの若干の遊びを調整して、ボイスコイルがポールピースに接触しないことを確かめて、ホッとした。
このユニットだけは、デッドマスを取り付けを、「セメダインX」で接着した。
▲ピークキャンセラ回路作成は、ユニット別に「MySpeaker」で特性を計り各々作成した。
| スピーカー番号 | ピーク周波数(Hz) | L(mH) | C(μF)計算値 | C(μF)購入品 | R(Ω) |
| #1(Right) | 1270 | 1.8 | 8.19 | 8.2 | 150 |
| #2(Left) | 1180 | 3.0 | 5.69 | 5.7 | 100 |
| #3 | 1270 | 1.8 | 8.19 | 8.2 | 150 |
| #4 | 1310 | 1.8 | 7.70 | 7.5 | 150 |
▲ボード組み立てとスピーカー取り付け
1ボードにステレオを組み込んだ。通常はステレオの場合、左右両端に離して配置するが、今回はハンドリングとスペースを考え、4連発ステレオとした。
それは、先日のWesternの16Aホーンを聞く会があって、その偉容に驚いたが、ドライバ(Westernではレシーバーと言うそうだ)の555が左右2発取り付けてあり、
ホーンの開口部で1つになる構造に触発されたせいもある。もちろん当時のトーキーはモノーラルであったが。
▲測定結果
| 組み合わせ | 特性 | |
| #1,#3(直列) | f特 | ![]() |
| 歪み特性 | ![]() |
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| 単発サイン波 | ![]() |
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| #2,#4(直列) | 諸特性は、#1,#3(直列)に同様なので省略 | |
| #1,#3(直列)、#2,#4(直列)ステレオ (信号はモノーラル) |
f特 | ![]() |
| 歪み特性 | ![]() |
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| 単発サイン波 | ![]() |
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▲結果の感想
@背面解放のバッフルボードの効果はすばらしい。130Hzあたりの盛り上がりが消え、第1共振峰は80Hzにある。
A問題のアナウサーの声の明瞭度は良くなった。ALTECの408-8Hと比してやや甘いかという程度。
B4連発のステレオの場合は、f特がなめらかで歪み特性も良好。
Cいい気になってジャズのトリオをボリュームを上げて聴いたら、エッジがぶつかって異音を発生、このスピーカーに低音をぶち込むのは御法度である。
居間ににもって行くと、無防備のコーン紙を破壊されそうなので、防護ネットを装備して移動することにし、当面は書斎で楽しむ。
薄さが10cm足らずなので壁際に置いてもスペースをとらないのや良い。
オーディオ・アミーゴ Volume-11.2007掲載の「音源としての平面スピーカー」ーOGITONEを語る
と題してオギトーン作成者の尾木敬貴智氏が語っている。記事中アルニコの良い磁気回路があればこれがいいと推奨されている。
しかし、普及版はフェライトが多く、アルニコマグネットは入手が難しい。
▲たまたま、オークションでアルニコマグネットのオギトーンを発見、早速落札した。
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仕様は、
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商品名 |
オギトーン:アルニコ磁気回路 |
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落札金額 |
2本1セット ¥32,000(落札価格) |
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商品の紹介 |
世界で最高の軽さを誇る振動板 |
早速装着。エンクロージャーはマルチホールの背面開放型。
▲音出しの結果は、
@フェライト型よりは能率が良い
Aフェライト型より力強さがある
▲MySpeakerで解析してみた結果は次の通り
| 項目 | 特性 | |
| Sine Sweep | ![]() |
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| Distortion | ![]() |
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| Sine Shot | ![]() |
特性的には、フェライト型と有意差は見受けられないが、1.3KHzあたりのピ−クが小さい。
これならば、ピークキャンンセラ無しで使えそうである。